月明りの射す寝室で背表紙を撫でるとき官能的な気分になるのは何故なのだろう

 

TwitterInstagramでは最近、#BookCoverChallenge というハッシュタグとともに素敵な本がたくさん紹介されている。日本語で #7日間ブックカバーチャレンジ ともいわれるこのチャレンジは、読書文化の普及に貢献するためのもので、好きな本を7日間にわたって一日一冊、本についての紹介は一切必要なく、表紙のみを写した写真を投稿するというもの。

本に救われ、本に学び、本と生きる私も、自分の愛しい本棚を見返して、美しく教養深まる7冊を選んでみた。

 

𓂃Day 1

たゆたえども沈まず / 原田マハ

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19世紀後半、栄華を極めるパリの美術界。画商・林忠正は助手の重吉と共に流暢な仏語で浮世絵を売り込んでいた。野心溢れる彼らの前に現れたのは日本に憧れる無名画家ゴッホと、兄を献身的に支える画商のテオ。その奇跡の出会いが〝世界を変える一枚〟を生んだ。読み始めたら止まらない、孤高の男たちの矜持と愛が深く胸を打つアート・フィクション。

 

一冊目、『たゆたえども沈まず』は画家・フィンセント・ファン・ゴッホとその弟テオ、そして二人の日本人画商の軌跡のお話。マハさんは実在した人物たちを臨場感あふれる筆致でたいへん魅力的に描かれるので、読み終えた頃には、ゴッホという、現代の私たちにとっては遠い遠い存在であるはずの、何百年も前に生きた画家とその弟のことを、まるで家族や親しい友人のように大切に思えてくるほど。

 

𓂃Day 2

もし僕らのことばがウィスキーであったなら / 村上春樹

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シングル・モルトを味わうべく訪れたアイラ島。そこで授けられた「アイラ的哲学」とは? 『ユリシーズ』のごとく、奥が深いアイルランドのパブで、老人はどのようにしてタラモア・デューを飲んでいたのか? 蒸溜所をたずね、パブをはしごする。飲む、また飲む。二大聖地で出会った忘れがたきウィスキー、そして、たしかな誇りと喜びをもって生きる人々――。芳醇かつ静謐なエッセイ。

 

どこの世界でも、職人ほど気高く柔軟で、寡黙で雄弁な存在がいるだろうか。村上さん自身も作家であり、無から価値あるものを生み出す"つくり手"。私たちのことばがウィスキーでなくとも、村上さんのことばによって職人の意思が、伝統が、日々が、舌の上を伝って喉の奥まで流れ込んでくるような ウィスキーの香り漂う、珠玉の旅行記

 

𓂃Day 3

BEYOND TIME / Gwen Frostic

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中学一年生から高校一年生の夏までアメリカで暮らしていたのだけれど、その当時にたいへん良くしてもらっていた女性に戴いた本です。私が今まで生きてきたなかで、もっとも美しい贈りもののひとつ。優しい秋の森の世界が和紙のような手触りの紙の上で素晴らしく繊細に描かれている。

 

𓂃Day 4

恋人たちの森 / 森茉莉

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頽廃と純真の綾なす官能的な恋の火を、言葉の贅を尽して描いた表題作、禁じられた恋の光輝と悲傷を綴る「枯葉の寝床」など4編。

 

森茉莉さんは森鴎外の娘で、それはそれは可愛がられたお嬢さま。日本に住んでいらした彼女だけれど、「ここはフランス…?」と錯覚するような、なんでもない毎日に美を見出すその魔法の眼がすき。麗しい男性同士の恋愛を描いたどこまでも耽美な小説。

 

𓂃Day 5

人類学とはなにか / ティム・インゴルド

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他者と“ともに”学ぶこと――
他者と向き合い、ともに生きるとは、どういうことか。
人類学は、未来を切り拓くことができるのか。

 

私自身が人類学を勉強している大学生であることを抜きにしても面白い本。インゴルドはイギリス人の凄い人類学者なのだけれど、いかんせん難解。平易な言葉が使われているはずなのに、突然宇宙に放り出されたかのような裏切りに遭うことも。が、アートと人類学は割と密接な関わりをもっていたりするので、芸術がお好きな方は興味深く読めるのでは。

 

𓂃Day 6

みずうみ / テオドール・シュトルム

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月の光に浮び上る少女エリーザベトの画像。老学究ラインハルトはいま少年の昔の中にいる。あのころは、二人だけでいるとよく話がとぎれ、それが自分には苦しいので、何とかしてそれを未然に防ごうと努めた。こうした若い日のはかない恋とその後日の物語「みずうみ」他北方ドイツの詩人の若々しく澄んだ心象を盛った短篇を集めた。

 

朝露に濡れる青林檎のような、みずみずしくも切ない短編集。初恋の煌めきや淡い少年少女時代が繊細に描かれていて、あたたかい日に公園のベンチで読みたくなる一冊。

 

𓂃Day 7

30-SECOND PSYCHOLOGY / Christian Jarret

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This title takes the top 50 strands of thinking in this fascinating field, and explains them to the general reader in half a minute, using nothing more than two pages, 300 words, and one picture.

 

心理学に興味があった中学生のときに購入したもの。心理学の基礎の基礎、を1項目につき30秒で学べますよ、という優れもの。すべて英語で書かれているけれど、そこまで難しくないので英語の勉強にも向いているかも。全ページに載っている絵や写真がとてもお洒落なので楽しく学べて良い。

 

以上、私の最近の本棚から選んだ7冊でした。

また #名刺代わりの10冊 も紹介しようと思います。

 

 

 

#おうち時間